タイトル | バンクシー 壊れかけた世界に愛を |
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著者 | 吉荒夕記 |
オークションでのシュレッダー事件などで話題となった覆面アーティスト・バンクシーの真相に迫る |
旅行に行くのが好きで、本は必ず持って行きます。ひとつはエッセイ。旅好きなのに飛行機嫌いなので、不安を払しょくする、笑えるものを選びます。あとは、夜にじっくり考え事しながら読む本。本屋さんに行くときは、時間があれば全コーナーをふらつきます。そこで、目に留まって、面白そう、立ち読みが止まらないけど、でも日頃気軽に読まないな、という本がその候補になります。
今回紹介したバンクシーの本もそのひとつです。たまたま金色の帯が目に留まって、オシャレな本だな、あぁ、バンクシーかぁ、となんとなく手に取って立ち読み始めたら止まらず、購入に至りました。本来は、今年旅先でじっくり読みたかった本ですが、緊急事態宣言の最中、新型コロナウイルス感染症のニュースから少し離れる時間をつくりたいな、と思い読み始めました。
バンクシーにはこれまで注目してこなかったのですが、この本を読むとバンクシーの生まれ育った環境や成長するなかで沸き上がってきた社会への想い、衝撃的な作品やその発表方法の数々に込められたメッセージが著者視点から見えてきて、彼の豊かな発想や表現方法に惹きつけられます。なかには目をそらしたくなるような作品もありますが、それをあえてつくってきた、そこまでして訴えないと伝わらない風潮があるとあらためて思いました。本当はみんなで考えたほうが良い社会課題が今にも埋もれてしまいそう、そんな時にバンクシーのようなパンチのある芸術作品が社会課題を明らかにし、世の中を動かすきっかけになるかもしれません。
私は日頃、ボランティア活動の紹介を通じて(地域)社会に関心を持ち行動につなげる一歩を応援していますが、ボランティア活動も「自分はこんな社会にしたいんだ!」という表現活動という一面もあります。そういう意味では、表現方法の全く違う彼に惹かれたのだと思います。
