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希望を感じたくて

ちゃんちゃん

2016年 学生支援課配属

タイトル 三体II黒暗森林
著者 劉 慈欣
人類に絶望した天体物理学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)が宇宙に向けて発信したメッセージは、三つの太陽を持つ異星文明・三体世界に届いた。新天地を求める三体文明は、千隻を超える侵略艦隊を組織し、地球へと送り出す。太陽系到達は四百数十年後。人類よりはるかに進んだ技術力を持つ三体艦隊との対決という未曾有の危機に直面した人類は、国連惑星防衛理事会(PDC)を設立し、防衛計画の柱となる宇宙軍を創設する。だが、人類のあらゆる活動は三体文明から送り込まれた極微スーパーコンピュータ・智子(ソフォン)に監視されていた! このままでは三体艦隊との“終末決戦""に敗北することは必定。絶望的な状況を打開するため、前代未聞の「面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)」が発動。人類の命運は、四人の面壁者に託される。そして、葉文潔から“宇宙社会学の公理""を託された羅輯(ルオ・ジー)の決断とは?

#まだ読んでないけど読みたい本
コロナの時代が始まって、みなさんの趣味に変化はありましたか。私にはありました。それは世界の終わりを描いたパンデミック映画を求めはじめたのです。

たとえば『アウトブレイク』(1995)や『コンテイジョン』(2011)など新しい病気が拡大し社会が大混乱していく映画です。もちろん、どの作品も最終的には人類はちゃんと生き残るはず、ということが分かっていたうえで、このような映画を見ていました。そこには、現実のコロナ禍もいつか克服できるんだ、という希望があって、それに応えるような映画を求めていたのかもしれません。

同じような世界の終わりと、その向こうにある希望を感じたくて読み始めたのが、ご紹介する『三体』(全3巻)です。中国人の作家劉 慈欣(リュウ・ジシン)によるSF作品です。中国のSF小説は日本ではあまり知られていませんが、この『三体』は中国では2008年に第1巻が刊行されると大ヒットとなり、日本でも2019年に翻訳刊行が始まるとベストセラーになりました。今では「中華系SF」の代表として必ず紹介される本です。

全世界で累計二千九百万部以上という驚異的なベストセラーとなった中国のSF大作。内容はまさに世界の終わりです。地球が滅亡するかもしれない人類がどのように危機に立ち向かうのか。その活躍が知りたくて、そしてその物語が世界的にヒットした理由が知りたくて、本書を手に取りました。
SFなので科学的な表現も多いですが、読み進めるとまるで映画のように猛スピードで話が展開していき、止まらなくなります。
中国の文化的な側面にも触れられる中華系SFの『三体』おすすめです。

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