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別れは悲しいことであるけれど

メルパパ

大学職員

タイトル 長い長いさんぽ
著者 須藤真澄
猫のゆずちゃんと飼い主夫婦の日常を描いたコミックエッセイ。ゆずちゃんは12歳。人間でいえば60歳をとうに越えた年齢です。穏やかに過ぎていく日常と最後の別れの時が淡々と描かれています。

我が家には、三毛猫が一匹います。この子は二代目の三毛猫です。先代は、2011年、東日本大震災の後に福島の妻の実家から引き取った子でした。当時は犬も飼っており、動物が常に側にいることが当たり前の生活でした。

しかし、命あるもの必ず別れの時が来ます。2013年に犬が虹の橋を渡り、2016年には猫も天に昇りました。

いつも傍らにいた暖かい小さな存在が消え、ぽっかりと空いたその穴が辛くて辛くて、3か月後には二代目の今の子を保護猫ボランティアさんから譲り受け、今に至ります。

今年、新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が増え、これまで以上に猫と一緒にいる時間が増えました。
日常生活でも様々な制約を受けストレスのたまる毎日ですが、そんなストレスも猫のおかげで心穏やかに過ごせています。私と同じく家族のペットに癒されている方も多いのではないでしょうか?

いくつかの別れを経験し、コロナ禍の中、生きることや命について考える機会も多くなりました。
そんな時、この本のことを思い出しました。
別れは悲しいことであるけれど、それを癒してくれる言葉がこの本にはあります。
ペットを飼われている方もそうでない方もこの本を読んで命の暖かさを感じてもらえたら嬉しいです。

最後に、私がこの本の中で好きな一文を紹介します。

「今 あたりまえにできていることが ちょびっとずつできなくなっていくのだろう
だけど 若かった頃の「かっこいいゆず」をわたしは覚えている
その姿を思いだすのは 悲しいことじゃない
遠い日の花火のようにただ素敵だったと思う」

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