37

仕事(または勉強)+創造性=遊び

のりへい

広報センター職員

タイトル クリエイティブ・マインドセット
著者 トム・ケリー&ディヴィッド・ケリー
世界でもっともクリエイティブなアメリカの会社、IDEOの創立者であるトム・ケリーとデイヴィッド・ケリーの2人が書いたとってもワクワクするビジネス書。え、ビジネスってこんなに楽しくてもいいの?ときっと思うと思います。クリエイティブなマインドセットで、きっと仕事が遊びのように楽しくなります。

 コロナ禍で誰かに贈りたい本。

 3月頃、新型コロナウイルスの感染が拡大して、僕は週3日が在宅勤務となり、小学生と高校生の息子も学校が休校になった。

 子どもたちときたら、スマホかiPadかMacか、1日中画面を見ている。誰に咎めらることがなければ、きっと365日、24時間、いつまでだってゲームばかりしていることだろう。

 ゲームならいつでも取りかかれるけど、勉強には気が向かない。さて、勉強(あるいは仕事)とゲームとはいったい何が違うのだろう。手順を覚えたり、学習したり、戦略を立てたり、効率化を考えたり、仕事でも勉強でもゲームでもそれほど違ったことはしていない。なのにゲームはOKで仕事や勉強はNG なマインドなのはなぜだろう。行動の原動力に、must、will、needのどれが働きかけているかの違いだろうか。きっと、自分で決めて、自ら進んでやっているからゲームは楽しい。だけど、誰かに強要されてやるゲームは、やっぱり楽しくないだろう。逆もある。自分で決めて仕事をする、自分で決めて勉強をするなら、きっとゲーム以上にそれは楽しい。

 「ワーク・ライフ・バランス」とよくいうが、バランスをとるくらいだからワークとライフは別のものとして語られている。しかし僕にとってはワークとプライベートの境界は曖昧で、ワークもプライベートもどっちもあってのライフだと思っている。ハーバードビジネスレビュー11月号「ワーク・フロム・ホームの生産性」に掲載されているナンシーP・ロスバード教授の論文では、僕のようにワークとプライベートが区別されていないタイプを”融合型”と言い、しっかり切り分けるタイプを”分離型”と言って両者の仕事スタイルを比較する分析を行なっている。

 融合型の自分は、自分のライフの一つとして自ら選択した仕事を日々、主体的に行なっているので、ありがたいことに仕事そのものを楽しませてもらっている。そして仕事や勉強は楽しくやった方がパフォーマンスがあがると思っている。
企業のスタイルとしてジョブ型とメンバーシップ型とがあり、年功序列、終身雇用を特色としていた日本の企業は伝統的にメンバーシップ型だった。ジョブ型は成果によって管理をするが、メンバーシップ型は時間で管理をする。つまり分離型の管理手法だ。在宅勤務を時間で管理をするなんてナンセンスだなあと思うが、きっと多くの企業はいまだにそうなんだろう。

 僕が理想とするIDEOという会社がある。IDEOの共同経営者トム・ケリー氏の『発想する会社!』という本を読んで以来のファンで、いつかこういう会社で働きたい、こういう会社を作りたいと思ってきた。コロナ禍に贈りたい本として選んだのは、そのトム・ケリー氏の著書の一冊『クリエイティブ・マインドセット』である。

 ”デザイン思考”という言葉を聞いたことがあるだろうか。デザイン思考はIDEOが開発したものではないけれども、有名にしたのはおそらくIDEOである。
デザイン思考とは人間中心にプロダクトやサービスを考える手法で、観察やインタビューや、フレームワークなどでそれを実現していく。計画ばかりで行動できないと意味がない。失敗を繰り返すことが成功に近づく道でもあるのだから、素早く行動するべきである。そうした意味でプロトタイプ制作を重視している。

 僕たちは基本的にワークとライフの分離型の教育で育ってきた。「自分の好きなことは仕事として選ばない方が良い」なんて大人がアドバイスしていた時代だった。人生の多くの時間を占める仕事に、やりたくないことを選んでどうして成果があがるだろう。だから、IDEOやGoogle、Zapposといった従業員が仕事を楽しんでいる会社、日本ならばロフトワークといった会社がお手本の会社となる未来に希望があると僕は思う。

 人生に必要なのは創造性。
仕事や勉強がつまらないのは、それが人から与えられて、指示されてするものだから。
仕事や勉強を自分で創り出すならきっとそれは楽しい。好きなことを仕事にできたらもちろん楽しいけれど、好きじゃない仕事だってきっと楽しくすることはできる。

仕事(または勉強)+創造性=遊び  

 ここでいう遊ぶこととはサボることとは違うので誤解しないでほしいのだが、 仕事と遊びを時間で切り分けるのではなくて、「遊ぶように仕事をする」もっと言えば「仕事で遊ぶ」、「仕事を遊ぶ」ことこそが成果をあげるために望ましい働き方ではないかと思うのだがどうだろう。

Back to list

特集バナー 特集バナー