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ふるさとは遠くにあって

海のある京都出身

職員

タイトル 幸せの条件
著者 誉田哲也
恋も仕事も後ろ向きな人、理化学実験ガラス機器の専門メーカー勤務の梢恵さん。ある日突然下った信じられない社長命令は単身で農村へ赴いて、新燃料(バイオエタノール)のためのコメ作りをしてくれる農家さんを探してくること!? 最初は農家さんに断られ続けたけれど、ある農業法人でまずはコメ作りの何たるかを知るべく梢恵さんは農作業に従事し、だんだんと周りと打ち解け、農業に励み、幸せを掴み取っていくお話です。

高校を卒業して大学進学のために実家を離れました。実家は兼業農家(といっても、自宅で食べる分を賄う程度)でした。長閑で空気が綺麗といえば聞こえはいいけれど、正直、田舎暮らしは好きではありませんでした。それなのに、いざ実家を離れると不思議と地元のニュースなどが気になるのですよ。年に何回か帰省すると、母のごはんと空気が美味しくて、ついつい(以下略)。

私の読書傾向は警察小説とか推理小説とか殺伐とした話が多いのですが、誉田哲也さんの著作が好きでよく読んでいた2015年頃に、この本を店頭で見かけて即購入。主人公と一緒に農業見習いをしている気分で読み進めていました。コメ作りに励むうちに農業の奥深さや、一緒に作業する方々とのコミュニケーション、他人を頼ること、頼られることなど忘れかけていた幸せを感じることを思い出していく梢恵さんの姿に私も幸せを感じました。読み終わった後は、子どもの頃がすごく懐かしくなりましたね。

ふるさとは遠くにあっても近いと感じる今日この頃です。

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